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◆ 専門領域あるいは担当科目の紹介
社会福祉では現場の実践活動が重視されるようですが、社会保障論はかならずしもこれに該当しません。社会保障論、あるいは、名称は違うかもしおれませんが「福祉国家論」等の同類の講義は、社会福祉学科だけでなく、経済学や政治学、社会学、法学、行政学等のいろいろな学問分野で開設されているアカデミックな学問でもあります。目の前にいる老人や障害者にどう対処するかという問いよりも、社会全体がこれらの人たちを含めすべての社会の構成員をどのように扱うかに社会保障の基本的な視点があります。
社会保障論A・B
社会保障論は社会福祉学科の中で最も範囲の広い講義と思っています。各種社会福祉や公的扶助等は社会保障の一部と考えられています。制度の対象にしても、例えば障害者福祉は障害者を対象とし、老人福祉が老人を対象とするのに対して、社会保障はすべての市民を対象とします。国民年金は20歳以上のすべての市民が適用対象となりますし、健康保険は年齢に関係なくすべての市民が適用対象となります。
方法論としても、経済学、法学、行政学、社会学、政治学等の多様な分野から社会保障にアプローチされています。周辺領域を見回すと、社会政策、労働経済、労使関係、経営学、労務管理等も社会保障に密接に関係します。
講義では、社会保障論Aは総論として、社会保障全般に共通して関係する基本的な議論を展開し、社会保障論Bは各論として、年金、健康保険、失業保険、労災保険、児童手当、介護保険、等々の具体的な議論を制度別に論じ、最後に最近の課題と展望にふれていきます。
◆ 専門領域の理解を深めるための文献紹介
社会保障は最近に限らず改正が頻繁です。新しい情報を得るために、毎年出版されている次の文献を勧めています。
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(財)厚生統計協会『保険と年金の動向』と『国民の福祉の動向』
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2 |
国立社会保障人口問題研究所『社会保障統計年報』法研
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3 |
健康保険組合連合会『社会保障年鑑』東洋経済新報社
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社会保障論のテキストとしては、入門書として岡『社会保障ハンドブック』学文社を講義で使用しています。より、専門的には経済学が中心になりますが、堀勝洋編『社会保障読本』東洋経済新報社を勧めます。他にもたくさんありますが、どの方法論に拘るか、どの制度に重点があるか等によって分かれます。
◆ その他
福祉業界で役に立つ研究だけが社会福祉学ではないはずです。民間企業でも、行政でも、誰でもどこでも役に立つものでなければならいと思います。福祉領域は益々拡大しています。多様な分野で卒業生が活躍できることを願っています。それが、社会全体の福祉への理解につながるからです。