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2013年度・社会学部学部長賞が決定いたしました。

2013年度・社会学部学部長賞が決定いたしました。詳細は、社会学部長賞のページをご覧ください。・・・社会学部長賞のページへ

『レポート添削講座』 無料の入学前教育のご案内

~入学を決めたら、社会学部生としての勉強が始まる~

いろいろな入試の種類がありますが、どの入試方法でも合格し、社会学部への入学を決めた方々には、無料の入学前教育がスタートします。その名は「明治学院大学社会学部 レポート添削講座」です。

この講座は、大学生になって必ず必要となるレポートを作成するための基本を学習するための通信講座です。社会学科生は1年次の必修科目「アカデミック・リテラシー」で、社会福祉学科生は「基礎演習」で必要となる知識です。4月からの大学生活に間に合わせるために、入学を決めた方から順に、この講座が開始されます。

特別入試の方は12月から始まり、入学式の前には「社会学部生」としての「基本」の「き」が身についているはずです。一般入試による入学者には、入学手続きを終了した方から順次この講座がはじまります。

2回の添削を終えた先輩たちからの評判は良好です。皆さんも、添削講座の資料が届いたらすぐに始めてください。そして添削結果を楽しみに待っていてください。

是非、大学生の気分を入学式前から味わいましょう。そして充実した4年間を過ごすための頭と心と身体の準備をしましょう。

明治学院創立150周年記念特別講演会 (社会学部学術講演会)のご案内

明治学院創立150周年を記念して、社会学部学術講演会「少子・高齢・格差社会を越えて」を開催いたします。ぜひご参加ください(入場無料。5月31日、6月21日、28日、7月19日開催)。

2013年に創立150年を迎えた明治学院では、これを記念して特別講演会を開催しています。
進む少子化と高齢化。現行制度のままでは、社会全体のシステムを崩壊させかねない大きな問題です。一方、社会的格差も拡がりつつあります。
「歴史を活かし、未来をつくる」― 秋の「震災後の人間の生き方」に続き、世界に先駆けて日本が直面する「少子・高齢・格差社会」について、第一人者である研究者と明治学院大学社会学部教授が考えます。

第1回 少子高齢化と格差社会 ―ジェンダー・世代に着目して 【終了】 ※報告記事
【日時】 5月31日(金) 19時~20時30分 (開場18時35分)
【講師】 白波瀬 佐和子 (東京大学大学院人文社会系研究科教授)
【対論】 坂口 緑 (明治学院大学社会学部教授)
【内容】 進行する少子高齢化が、日本社会の階層格差とどう関連しているのか、ジェンダー、世代の視点に着目して論じていく。先進諸国共通の事象である格差問題と少子高齢化について、国際比較の観点からも考える。

第2回 少子化と格差社会―子どもの貧困を考える 【終了】 ※報告記事
【日時】 6月21日(金) 19時~20時30分 (開場18時35分)
【講師】 阿部 彩 (国立社会保障・人口問題研究所部長)
【対論】 元森 絵里子 (明治学院大学社会学部准教授)
【内容】 少子化の中、子どもの6人に1人が相対的貧困状態にある。子ども期の貧困は将来の可能性を狭め、次世代への負の連鎖を引き起こす。日本の子どもの貧困はどこまで悪化しているのか。政策の選択肢はあるのか。

第3回 高齢化と格差社会―高齢者の健康格差を考える 【終了】 ※報告記事
【日時】 6月28日(金) 19時~20時30分 (開場18時35分)
【講師】 近藤 克則 (日本福祉大学教授・健康社会研究センター長)
【対論】 河合 克義 (明治学院大学社会学部教授)
【内容】 日本において、高齢期に至るライフコースにおける社会階層の格差は、高齢期の生活の基礎である「健康」に関する格差を生んでいる。健康の社会的決定要因が健康格差を生成するプロセスや対策について論じる。

第4回 21世紀型福祉社会への途―少子・高齢・格差社会を越えて【終了】 ※報告記事
【日時】 7月19日(金) 19時~20時30分 (開場18時35分)
【講師】 武川 正吾 (東京大学大学院人文社会系研究科教授)
【対論】 和気 康太 (明治学院大学社会学部教授)
【内容】 欧米先進諸国で成立した20世紀型福祉国家に対して、21世紀型福祉社会への途はいかにあるべきか。大きな課題となる少子・高齢・格差社会を越えてゆくために、われわれがいまなすべきことについて考える。

※各回共通
【場   所】 明治学院大学白金キャンパス3号館3101教室
【事前申込】 不要
【入場料金】 無料
【定   員】 350名
【事 務 局】 学校法人明治学院 法人事務室 Tel 03-5421-5169

■講演会パンフレット
※画像をクリックするとパンフレットの表・裏共に拡大表示されます。(PDFファイル)

講演会のお知らせパンフレット(表) 講演会のお知らせパンフレット(裏)

 

復刻版『吉里吉里語辞典』の刊行によせて

明学が取り組む東日本大震災の被災地復興支援活動のひとつに,社会学部社会学科の浅川先生が中心となり明学生とともに取り組んでいる「吉里吉里語辞典アーカイブ化プロジェクト」があります。

このプロジェクトは,岩手県大槌町吉里吉里の言葉・文化を通じての復興支援活動です。第1段階として『吉里吉里語辞典』の電子データ化作業を完了し,書籍の復刻版刊行を果たしました(関谷徳夫著,復刻版『吉里吉里語辞典 いとしくおかしく懐かしく』ハーベスト社,2013年3月11日発行)。現在は,第2段階であるアーカイブ化活動が進行しています。(詳しくは浅川研究室のWEBサイトをご覧ください。http://www.asakawa.skr.jp

このページでは,復刻版『吉里吉里語辞典』の刊行に寄せて,その経緯と刊行の社会的意義について浅川先生に紹介していただきました。

 

復刻版『吉里吉里語辞典』の刊行によせて
−くらしを後世に伝え,復興を可視化し,希望を与えてくれる辞典−

浅川達人

 

2011年3月11日,東日本大震災がもたらした大津波によって,岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里は甚大な被害を受けました。井上ひさしの小説『吉里吉里人』によって,かつて全国的に有名になったこともあるこの地は,現在では津波被災地のひとつとして知られることとなりました。吉里吉里で生まれ育った関谷徳夫さん(2013年現在で81歳)は,この地域で使われてきた方言である「吉里吉里語」を標準語で紹介した『いとしくおかしく懐かしく 私の吉里吉里語辞典』を2007年に自費出版していたのですが,自宅に保管していた在庫の全てを,自宅もろとも今回の大津波にさらわれてしまったのです。

2011年6月。津波にさらわれたアルバムなどの思い出の品々を選り分け展示していた会場でボランティアをしていた明治学院大学の学生が,偶然一冊の吉里吉里語辞典を発見しました。当時,ボランティアセンター長補佐をつとめていた浅川が,関谷徳夫さんの息子さんである関谷晴夫さんと一緒にその発見された一冊を展示会場から貰い受け,浅川が東京に持ち帰り,砂を払いしわを伸ばして一頁ずつスキャンし,画像データを作成しました。その画像データに基づいて,学内はもとより学外の方を含む134名のボランティアが入力作業を行い,2011年11月末には電子データ化を完了しました。その後プリントアウトしたものを著者の関谷徳夫さんに校正していただき,電子データを修正する作業を2012年12月まで繰り返しました。2013年3月,ついに復刻版『吉里吉里語辞典』として刊行するに至ったのです。

左が復刻版。右が発見された一冊。

吉里吉里語とはどんな方言か,方言を辞書という形で遺すことにどんな意味があるのか,「横座(よござ)」という吉里吉里語を例として考えてみましょう。意味は「囲炉裏の周囲の場所での一番の上座。通常その家の家長が座るべき定位置とされて来た。(p.521)」と記されています。吉里吉里でも今は,囲炉裏がある家はほとんどないでしょう。吉里吉里の家々から囲炉裏が消えると同時に,この「横座(よござ)」という言葉も失われ,と同時に「座る場所には意味があった」という記憶も失われていきます。復刻版『吉里吉里語辞典』には,吉里吉里でこれまで営まれてきた生活を描き出し,それを後世に伝える貴重な資料としての意味があるのです。

それだけではありません。震災から2年が経過した2013年3月の吉里吉里の風景は,瓦礫撤去が完了した2011年秋の風景とほとんど変化がないのです。役場や関係各位の復興に向けた懸命な努力が絶え間なく続いているのは事実です。しかしながら,目に見える形での復興は遂げられていないこともまた,悲しいながら事実なのです。復刻版『吉里吉里語辞典』は現在,震災後,大槌町で唯一の書店として営業を開始した一頁堂書店で販売され,人びとは復刻版を手に取ることができます。小さな本の復活に過ぎないのですが,目に見える復興のひとつではあるのです。これが,復刻版『吉里吉里語辞典』がもつもうひとつの意味です。

さらには,被災地から遠く離れた場所で暮らす人でも,この小さな本を手にすることができます。東北地方のひとつの街の言葉や生活に対して,関心を寄せてくれる他者が全国に存在する。そのことを,未来が見えないなかでも懸命に暮らしている大槌町のみなさんが知ったとき,それは大槌町のみなさんに対して,地域社会に対する誇りと,愛着と,明日への希望を与えてくれることでしょう。

 

(注:本稿は『図書新聞』に掲載した浅川の原稿を基に,加筆修正することで執筆しました)

 

復刻版『吉里吉里語辞典』こぼれ話(1)(2)
復刻版『吉里吉里語辞典』こぼれ話(3)(4)